木材引取税(読み)もくざいひきとりぜい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「木材引取税」の意味・わかりやすい解説

木材引取税
もくざいひきとりぜい

素材の引取行為と市町村が提供する行政サービスとの受益関係に着目して課された市町村税で、1989年(平成1)4月に消費税導入により廃止された。山林所在市町村では、その区域が広く、行政経費が比較的に割高につく。しかも、このような市町村では、木材伐採搬出によって道路橋梁(きょうりょう)などの施設の損傷を被る場合が多く、また財源も乏しい。木材引取税は、このような山林所在市町村の特別な財政需要を考慮して、素材の引取者に対して課された税であり、89年の廃止まで続いた。

[中野博明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「木材引取税」の意味・わかりやすい解説

木材引取税
もくざいひきとりぜい

かつての市町村税の法定普通税の一つ。立木の伐採後の最初の引取者に対して,素材の山元価格または容積課税標準として課税されるもの。ただし伐採後長期にわたり引取りが行われない場合には,木材の所有者を引取者とみなして課税する。税率は山元価格を課税標準とする場合は標準税率2%,制限税率3%で,容積を課税標準とする場合には,山元価格の税率と均衡するように条例で定められていた。徴税は立木の所有者その他徴収の便宜を有するものを特別徴収義務者とする特別徴収の方法による。この税は山林所在市町村が道路整備その他林野行政のための経費を負担することに対する受益負担の性格をもっていたが,1989年4月1日消費税導入に伴い廃止された。

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