海外では有効性が立証され、その使用が公的に承認されて医薬品製造会社によって製造・販売されているが、日本では医薬品医療機器等法(旧薬事法)によって承認されておらず販売が許可されていない医薬品。未承認薬は公的医療保険の適用外となるため、使用する場合は基本的に患者の自己負担となり、とくに癌(がん)治療に用いられる未承認薬の自己負担額が高額となることが問題となっている。また、ある疾患に対しての効能が日本でも承認されて販売されている医薬品を、欧米では承認されているが日本では未承認の適応疾患や症状に対して使用すると医療保険適用外となる場合があり、これを適応外薬とよぶ。
日本では古くから、新薬やワクチンの薬事承認に多くの時間を要するという問題が指摘されているが、その原因は承認申請の手続の遅れや日本の患者の実情にあわせた治験の必要性などもあげられる。なお、欧米ですでに承認されて発売されている医薬品が、日本で販売されるまでに生じる時間的なずれを、とくにドラッグ・ラグとよぶ。
厚生労働省では承認審査を迅速に行うことができるよう、2005年(平成17)に未承認薬使用問題検討会議を立ち上げ、医薬品製造会社に対し、治験や承認申請を速やかに行うよう要請している。また、一般社団法人未承認薬等開発支援センターでは、未承認薬使用問題検討会議等において対応が必要と判断した未承認医薬品もしくは未承認適用医薬品(適応外薬)、そのほか医療上で必要性がとくに高いと認められる医薬品について、その研究開発や承認取得等に対する支援や資金補助を行っている。
なお、無承認医薬品とは無承認無許可医薬品のことで、医薬品医療機器等法に基づく品質や有効性および安全性について確認されていない医薬品を意味する。
[編集部 2016年8月19日]
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