本陣殺人事件(読み)ホンジンサツジンジケン

デジタル大辞泉 「本陣殺人事件」の意味・読み・例文・類語

ほんじんさつじんじけん〔ホンヂンサツジンジケン〕【本陣殺人事件】

横溝正史の長編推理小説。昭和21年(1946)「宝石」誌に連載単行本翌年刊行。名探偵金田一耕助の初登場作品。第1回日本探偵作家クラブ賞(現、日本推理作家協会賞)長編賞受賞。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「本陣殺人事件」の意味・わかりやすい解説

本陣殺人事件
ほんじんさつじんじけん

横溝正史(せいし)の長編推理小説。『宝石』1946年(昭和21)4~12月号に連載。翌年、青珠社刊。江戸時代、宿場本陣を務めた一柳家の長男が大雪の夜、祝言をあげ、新郎新婦が離れに引き揚げたあと2人とも惨殺されるという怪事件が発生する。不気味に出没する3本指の男の殺人予告。岡山の封建的旧家を舞台にして日本の伝統的家屋構造の中に本格的密室を設定し、しかも旧家にまつわる妖異(ようい)な雰囲気のなかで読者の意表をつくトリックが用意されている。緻密(ちみつ)な論理的構成をもつ本格長編で、第二次世界大戦後の推理小説リバイバルの原点となった記念すべき作品。風采(ふうさい)のあがらぬ名探偵金田一耕助(きんだいちこうすけ)を初めて登場させ、48年に第1回日本探偵作家クラブ長編賞を受賞した。『本陣殺人事件』は、1975年高林陽一(1931― )監督によって映画となったが、同作品は、『宝石』に連載された翌年の1947年に『三本指の男』という題名で、松田定次(さだつぐ)(1906―2003)監督によってすでに映画化されている。

厚木 淳]

『『本陣殺人事件』(角川文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android