改訂新版 世界大百科事典 「東京独立雑誌」の意味・わかりやすい解説
東京独立雑誌 (とうきょうどくりつざっし)
1898年6月万朝報社を退社した内村鑑三が主筆となって創刊した雑誌。発行所は東京独立雑誌社。旬刊(ただし,7号までは月2回刊)。本誌で内村は〈確信あらざれば語らず,独特の思想を含有せざる寄書は載せず,熟読せざる書は評せず〉として,日清戦争後の憂慮すべき社会状況と藩閥政治に痛烈な時事評論をもって,社会問題の解決につとめようとした。その基本は個人の独立,自由思想,平民主義の普及にあった。また,古代国家の盛衰の歴史《興国史談》(43~71号)は時代への警世でもあった。田岡嶺雲,蒲原有明,児玉花外らの寄稿もあり,広く社会問題を論じていたが,しだいに宗教色を強め,1900年7月に終刊(72号)とし,《聖書之研究》(1900年9月~30年4月)に移行した。
執筆者:若井 康彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報