朝日日本歴史人物事典 「板倉復軒」の解説
板倉復軒
生年:寛文5(1665)
江戸時代中期の漢学者。江戸の人。名は九,字は惇叙,通称は惣左衛門,のちに九左衛門。復軒と号す。先に木下順庵 に師事したが,晩年荻生徂徠の学問に心酔,息子たちをその門に学ばせた。父正信の代から甲府宰相(徳川綱重)家に仕え,宝永1(1704)年,綱重長子綱豊(のちの6代将軍家宣)が将軍嗣子に決まると,そのまま幕臣となった。西ノ丸御納戸番より累進,組頭にすすみ,享保1(1716)年,瑞春院(5代将軍綱吉の側室)御方広敷番の頭に転じた。清廉な人柄で,金銭を扱う職に長くありながら,汚職発覚の際,ひとり罪を免れたという。学問好きの性格は,その子,美仲,美叔に受け継がれた。
(高橋昌彦)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報