栄養ケアプロセス(読み)えいようけあぷろせす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「栄養ケアプロセス」の意味・わかりやすい解説

栄養ケアプロセス
えいようけあぷろせす

栄養管理における栄養状態の評価・判定の国際的に標準化された基準、ならびに栄養ケア提供の手法NCP(Nutrition Care Process)と略す。NCPは、アメリカ栄養士会(Academy of Nutrition and Dietetics:AND旧称はAmerican Dietetic Association:ADA)の提案により栄養管理の方法や用語および概念の国際的な統一の検討が始められ、2003年に、栄養アセスメント、栄養診断、栄養介入、栄養モニタリングおよび評価の4段階で構成されるモデル(栄養管理の手順)として発表された。栄養アセスメントでは、患者やクライアントの栄養状態や栄養にかかわる問題および原因を、身体計測や生化学的検査、および身体所見や既往歴、食事摂取状況などから把握する。栄養診断では、栄養アセスメントをもとに栄養状態を診断し栄養上の課題を明らかにする。次に栄養診断をもとに介入計画を策定し栄養介入を試み、最後に介入の結果について評価するというプロセスを経る。

 その後、2005年にシカゴで、アメリカ、イギリス、日本をはじめ数か国の参加を得て栄養管理の国際的標準化に関する会議(International Meeting on Standardized Language for Dietetics)が開催された。さらに2008年(平成20)、横浜で開催された国際栄養士連盟(International Confederation of Dietetic Associations:ICDA)がかかわる国際栄養士会議(International Congress of Dietetics:ICD)において、栄養ケアプロセスを各国で普及させていくことの合意がなされた。日本栄養士会でも、管理栄養士など栄養専門職の専門性と質の向上を目ざし、栄養ケアプロセスの修得を推進するために、2012年に「国際標準化のための栄養ケアプロセス用語マニュアル」(第3版)を翻訳出版している。また日本栄養改善学会では2015年に、「管理栄養士養成課程におけるモデルコアカリキュラム2015」を採択している。

[編集部 2017年3月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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