朝日日本歴史人物事典 「栗杖亭鬼卵」の解説
栗杖亭鬼卵
生年:延享1(1744)
江戸時代の戯作者。本名は伊奈文吾,のちに改めて大須賀周蔵など。河内国(大阪府)茨田郡佐太村に生まれ,永井侯の陣屋に勤める下級武士だったが,その傍ら絵画,連歌,狂歌,俳諧に遊ぶ。一時は香川景樹門で和歌も学んだ。安永3(1774)年,俳書『佐太のわたり』を出版。その後,大坂から安永8(1779)年には三河国(愛知県)吉田に移り,寛政3~6(1791~94)年には,伊豆韮山代官江川家の手代として三島に住む。その後官を辞して駿府に移り,寛政末ごろからは遠江国(静岡県)日坂に住み,煙草屋を営む。文化4(1807)年,読本の処女作『蟹猿奇談』を出版。その後晩年に二十余冊の読本を著した。<参考文献>岸得蔵『仮名草子と西鶴』,横山邦治『読本の研究』
(樫澤葉子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報