日本大百科全書(ニッポニカ) 「根伏せ」の意味・わかりやすい解説
根伏せ
ねぶせ
不定芽をもった根を土中に伏せ込んで、芽を出させる栄養繁殖の一種。一名根挿しともいう。おもに宿根草類に利用されるが、花木類でも不定芽を再生しやすいものには用いられる。
[堀 保男]
方法
宿根草類(アカンサス、ルリギク、ニホンサクラソウなど)では、地上部が生育を停止している早春か、春の芽の出るころに、太根を5センチメートル内外に切断し、赤玉土、川砂など病害虫のない用土に斜めまたは横に並べ、1センチメートル程度覆土して、乾燥、過湿にならないように管理する。発芽して本葉2、3枚のころに鉢上げする。花木(サツマフジ、ノウゼンカズラ、デイコなど)では太根を20~30センチメートルに切断し、肥料分の少ない通気性・排水のよい畑地に斜めに伏せ込み、3~5センチメートル覆土しておく。発芽したものは1年間そのまま肥培管理する。特異な例としては、畑地の雑草であるヒルガオ、スギナ、ヤブカラシなどが、耕うん時の切断で自然の根伏せ状態となり駆除に困ることがある。
[堀 保男]