ノウゼンカズラ(読み)のうぜんかずら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノウゼンカズラ」の意味・わかりやすい解説

ノウゼンカズラ
のうぜんかずら
[学] Campsis grandiflora K.Schumann

ノウゼンカズラ科(APG分類:ノウゼンカズラ科)の落葉藤本(とうほん)(つる植物)。つるは長く伸び、短い気根を出して他物をよじ登る。葉は対生し、奇数羽状複葉で長さ10~20センチメートル。小葉は5~9枚、卵形で長さ3~7センチメートル、縁(へり)に粗い鋸歯(きょし)がある。7~8月、枝先に円錐(えんすい)花序をつくり、美しい黄赤色花を開く。花冠は広い漏斗(ろうと)形で径6~7センチメートル、先は5裂して丸い。雄しべは4本で、うち2本は長い。結実はまれである。中国原産。庭に植栽され、蜜(みつ)が目に入ると失明するという迷信がある。繁殖は挿木、取木、株分けによる。近縁種アメリカノウゼンカズラC. radicans Seem.は、複葉の小葉は9~11枚、長い漏斗形で径4センチの橙赤(とうせき)色花を開く。

小林義雄 2021年10月20日]

 ノウゼンカズラ科Bignoniaceaeはおもに熱帯に分布し、2018年のデータでは82属約870種が知られる。日本にはノウゼンカズラやキササゲのように観賞用に植えられているものがある。

[編集部 2021年10月20日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノウゼンカズラ」の意味・わかりやすい解説

ノウゼンカズラ
Campsis chinensis; great trumpet creeper

ノウゼンカズラ科の落葉つる植物で,中国大陸原産。茎には付着根があって他物にからみ登る。葉は対生で奇数羽状複葉,5~11枚の小葉から成る。小葉は卵形ないし卵状披針形で長さ 3.5~6.5cmあり,縁にあらい鋸歯がある。7~8月頃,若枝の先に円錐花序を出し橙黄色の大型花をつける。花冠は広い漏斗状で上部はカップ形に開き,径6~7cmあってやや不同に5裂する。果実は長さ6~10cmの細長い 蒴果であるが日本では結実しない。花やつぼみの汁は有毒である。観賞用や日よけに,棚などに栽培される。

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