デイコ(英語表記)coral tree
Erythrina variegata L.(=E.indica Lam.)

改訂新版 世界大百科事典 「デイコ」の意味・わかりやすい解説

デイコ (梯沽)
coral tree
Erythrina variegata L.(=E.indica Lam.)

熱帯マメ科の落葉高木で,濃赤色の蝶形花を裸の木の枝先に密につけ美しい。木はじょうぶで育ちやすく,街路樹,庭園木として植えられている。沖縄県の県花として有名である。原産地は東南アジアとされていて,インドには野生のものが多い。高さ10~20mぐらいで,幹や枝に黒く太いとげがある。沖縄では春,熱帯圏では乾季の終りごろ,枝先に長さ30cm内外の総状花序をつけ,長さ6cmぐらいの濃赤色の蝶形花を密生する。花が終わると新しい葉がでて,樹陰をつくる。葉は3小葉からなる複葉で,小葉は径10cmくらいの広卵形,先はとがっている。材は軽く,琴,下駄のほか琉球漆器の木地につかわれる。また,樹皮は結束用とし,海桐皮(かいとうひ)の名で漢方薬にもされる。近縁種アメリカデイコE.crista-galli L.は花穂が長く,小葉はやや小さく厚みがある。原産地はブラジル。デイコより寒さに強く,日本の暖地でも生育する。日本では花は初夏から秋まで,新梢の先につく。繁殖挿木によるが,実生でもよい。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デイコ」の意味・わかりやすい解説

デイコ(梯沽)
デイコ
Erythrina indica; coral tree

マメ科の高木。インド原産で沖縄,八丈島,九州南部で栽植される。幹は太く瘤状の凹凸があり,高さは 10mにもなって,樹皮は灰白色をしている。枝には太いとげがある。葉は3出複葉で小葉は長さ 10cmほどの楕円形,葉縁は全縁である。春,葉にさきがけて,枝先に総状花序をなし,鮮かな赤色の蝶形花を密につける。花は斜め下方を向き花序の下方から順に開花する。おしべは 10本で上方の1本だけが短く,下方の9本は花糸の基部で癒着し1束になる。果実は長さ 30cmほどの莢になり毛はない。日本ではあまり結実しない。沖縄ではこれをデーグと呼び,県花となっている。この属の植物は新旧両大陸の熱帯地方にあり,そのうちの1種アメリカデイコ E. americanaは寒さに強いので日本の本州でも庭園樹として栽植される。また小笠原諸島にはごく近縁の特産種ムニンデイコ E. boninensisがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「デイコ」の意味・わかりやすい解説

デイコ
でいこ / 梯姑

マメ科(APG分類:マメ科)の落葉高木。デイゴともいう。東南アジア原産で、沖縄、台湾では露地で栽培され、真紅の美しい花を開く。

[編集部 2019年10月18日]

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百科事典マイペディア 「デイコ」の意味・わかりやすい解説

デイコ

デイゴとも。インド,マレー地方の原産といわれるマメ科の落葉高木。高温多湿地では常緑。葉は3出葉で小葉はひし形。花は4〜6月,若枝の先に数十個がかたまって,ふつう葉より先に開き,真紅色で4〜5cmの細長い蝶(ちょう)形。豆果は広線形で長さ10〜30cm。沖縄,九州では庭木とし,東京以南では戸外で越冬する。これに似たブラジル原産のアメリカデイコのほうが寒さに強く,花は葉よりあとに開き,大きくて丸みがあり,鮭(さけ)肉色で花期は6〜8月。ともに取り木または実生(みしょう)でふやす。

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世界大百科事典(旧版)内のデイコの言及

【曼陀羅華】より

…忉利天,極楽世界,さまざまな仏国土を荘厳する花樹としても登場する。サンスクリットのマンダーラバmandāravaの音写で,モデルはマメ科のデイコとされる。樹高は20mにも達し,初夏(インドでは3~4月)には深紅色から紫紅色の花を長さ30cm内外の総(ふさ)状につける。…

※「デイコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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