地面に木の棒を打ち込み合う遊び。ナラ,クヌギ,梅などの堅木の枝で太さ3cmくらいのものを長さ30~40cmに切り,一端をとがらせたものを地面に打ちつけて立て,次の者はそれを打ち倒すようにする。倒せば自分のものとなる。地方によって〈ねんがら〉〈かいねん〉〈くいうち〉〈こばよ〉〈たっぺ〉〈てんが〉〈てんがら〉〈にっき〉〈ねっくい〉〈ぼううち〉などの名がある。木の枝のまたを短く切って残して鉤(かぎ)のようにした棒も使われ,柳田国男はこれは木の枝に対する信仰と関係があり,〈ねんがら〉の〈ねん〉は〈念〉ではないかといっている。古くは〈無木(むき)〉といい,《骨董集》では〈撃壌(げたうち)〉に同じとしている。これは中国に古くから伝わるもので,幅10cmほどの履(くつ)の形をした木片を立て,30歩ほど離れたところから同形のものを投げつけて倒す遊びである。《和訓栞》には〈ねんがら〉の名で釘を打ち立てる遊びとされ,また《長崎歳時記》には〈木ねん〉〈金ねん〉ともいい,金ねんは以前はあつらえたが近年は船釘を用いると記され,江戸時代末期には金属製のほうが好まれたことが知られる。のちには五寸釘を用いた〈釘打ち〉〈釘刺し〉と変形し,昭和前期までは盛んに行われた。
執筆者:半澤 敏郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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