和訓栞(読み)わくんのしおり

精選版 日本国語大辞典 「和訓栞」の意味・読み・例文・類語

わくんのしおり ワクンのしほり【和訓栞】

(「わくんかん」とも) 江戸後期の国語辞書。九三巻八二冊。谷川士清(ことすが)編。安永六~明治二〇年(一七七七‐一八八七)刊。古語雅語俗語方言など、語を五十音順(第二音節まで)に配列語釈出典用例を示す。よく整備され、日本最初の近代的国語辞書とされる。一般に、井上頼圀小杉榲邨増補改正の「増補語林和訓栞」三冊が流布している。

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デジタル大辞泉 「和訓栞」の意味・読み・例文・類語

わくんのしおり〔ワクンのしをり〕【和訓栞】

江戸後期の国語辞書。93巻。谷川士清ことすが編。安永6~明治20年(1777~1887)刊。3編からなり、前編には古語・雅語、中編には雅語、後編には方言・俗語を収録。第2音節までを五十音順に配列し、語釈を施して出典・用例を示す。明治31年に井上頼圀らが増補改正した「増補語林倭訓栞」は前編・中編を増補したもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「和訓栞」の意味・わかりやすい解説

和訓栞 (わくんのしおり)

江戸中期の国学者谷川士清(たにかわことすが)編の国語辞書。前・中・後(後編は方言俗語が多い)の3編より成る。現在普及する活字本は,1898年井上頼圀・小杉榲邨(すぎむら)刊の前・中両編に別の辞書3種を付録した《増補語林和訓栞》,および1899年刊野村秋足校訂の前・中・後3編(のちに合冊)。本来は整板本として1777年(安永6)以降数次にわたり刊行され,最終は1887年に至る。古語,雅語のほか俗語,方言,外来語にも及んで所収語の範囲は広く,全体として均衡のとれた穏健な説明がある。見出し語を五十音順(ただしオ・ヲの所属は現在と異なる)にならべる点では,近世の辞書としては珍しい。《雅言集覧》《俚言集覧》とともに江戸時代の代表的な国語辞書といわれる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「和訓栞」の意味・わかりやすい解説

和訓栞
わくんのしおり

国語辞書。93巻。谷川士清(たにがわことすが)(1709―76)編。前・中・後編の編ごとに、仮名一字の語、二字の語、三字の語などそれぞれ別に、また第二音節までを五十音順に配列してある。前編には古言・雅語、中編に雅語、後編に方言・俗語を収録するのは、編纂(へんさん)の過程を示すものであろう。語彙(ごい)は豊富で、確かな根拠に基づいた語釈も穏当である。巻首の「大綱」では音韻、漢字、仮名、方言など、国語を概説している。本書の刊行には、士清の没した翌年から1887年(明治20)までの100余年を要した。

[沖森卓也]

『尾崎知光編『和訓栞大綱』(1985・勉誠社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「和訓栞」の意味・わかりやすい解説

和訓栞
わくんのしおり

『倭訓栞』とも書く。江戸時代中期の国学者谷川士清 (ことすが) が著わした国語辞典。 93巻。前編,中編,後編として安永6 (1777) 年から 1877年にかけて刊行。古語 (上代語) ,雅語 (中古語) ,俗語 (口語,方言) を集め,第2音節までの五十音順に配列して,出典を示し,語釈を加え,用例をあげている。日本で最初の近代的な国語辞書として注目され,明治以後の辞書に与えた影響も大きい。なお現在は,98年に井上頼圀,小杉榲邨の増補再編成した『増補語林和訓栞』 (3冊) が流布しているが,これには後編が含まれていない。

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旺文社日本史事典 三訂版 「和訓栞」の解説

和訓栞
わくんのしおり

江戸後期,谷川士清 (ことすが) の著した国語辞書
1777〜1887年に3期に分けて刊行。3編,93巻82冊。広範囲にわたる語彙を集録。五十音順に配列し,出典をあげ詳密な解釈を加えた。後世の辞書にも大きな影響を与えた。

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