桂園体制(読み)けいえんたいせい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「桂園体制」の意味・わかりやすい解説

桂園体制
けいえんたいせい

桂太郎西園寺公望情意投合による政治体制。この政治体制は明治末期から大正初期にかけて近代日本政治史上めずらしい政局安定期をもたらした。日露戦争中,首相の桂太郎と西園寺公望,原敬の間で政権交代に関する密約がかわされ,第1次桂内閣のあとをうけて 1906年第1次西園寺内閣が誕生した。以来桂と西園寺は交互に政権を担当し,13年第3次桂内閣が第1次護憲運動によって崩壊するまでの約 12年間,この体制は継続した。その理由としては,(1) 官僚派立憲政友会の間のきびしい対立のなかで,官僚派中最も官僚らしくない桂太郎と,政友会総裁でありながら最も政党人らしくない西園寺公望が,互いに交代して政権を担当することは一種勢力均衡をもたらす効果があったこと,(2) 官僚派も政友会も,単独では他を排撃し,政権を維持するほどの実力はなく,共存妥協のほかに道がなかったこと,があげられる。しかし政友会との妥協によって政権を担当することにあきたらなかった桂首相は,13年1月 20日,突如新政党組織計画を発表,政友会の切りくずしにかかったため,政友会はかえって党内結束を固め,国民党攻守同盟を結び,桂内閣打倒の第1次護憲運動を指導するにいたった。桂園体制はここに実質的に崩壊し,第3次桂内閣もまもなく倒壊した。

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