フランスの作曲家E.サティの初期のピアノ連弾のための作品で,1903年に作曲された。独特な神秘思想をもっていたサティは,小節線を取りはずした自由な形式のピアノ曲などを作曲していたが,あるときドビュッシーに形式について配慮するように忠告され,その忠告に対する回答としてこの作品を完成した。この場合のフランス語の〈梨〉は,〈阿呆〉を意味するといわれている。《三つの小品》というタイトルにもかかわらず,〈開始の様式で〉〈同じものの延長〉〈ゆっくりと〉〈奔放に〉〈粗野に〉〈付け加え〉〈言いなおし〉の七つの部分からなっている。古典的な音楽形式への反発と皮肉が全体を支配し,サティの諧謔(かいぎやく)の精神による代表的な作品の一つとされている。
執筆者:船山 隆
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