森澄雄(読み)もりすみお

日本大百科全書(ニッポニカ) 「森澄雄」の意味・わかりやすい解説

森澄雄
もりすみお
(1919―2010)

俳人。兵庫県生まれ。本名澄夫。九州帝国大学経済学部卒業。1940年(昭和15)『寒雷(かんらい)』に入会、加藤楸邨(しゅうそん)に師事、のち編集を担当。この年、九大法文俳句会をおこした。1970年(昭和45)『杉』を創刊主宰虚実を超えて存在する芸術の世界を俳句に定着しようと試み、独特の句風をもつ。句集に『雪櫟(ゆきくぬぎ)』(1954)、『花眼(かがん)』(1969)、『浮鴎(うきかもめ)』(1973)、『鯉素(りそ)』(1977。読売文学賞)、『游方(ゆほう)』(1980)、『四遠』(1987。蛇笏(だこつ)賞)、『花間(かかん)』(1998)など。ほかに評論集がある。1997年(平成9)日本芸術院会員。2005年文化功労者。

鷹羽狩行

 雪嶺(せつれい)のひとたび暮れて顕(あら)はるる

『『現代俳句大系8』(1972・角川書店)』『『森澄雄俳論集』(1971・永田書房)』『「森澄雄読本」(『俳句』臨時増刊号・1979.4・角川書店)』『那珂太郎解説『森澄雄句集』(2002・芸林書房)』『上野一孝編『森澄雄の107句』(2002・舷燈社)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「森澄雄」の解説

森澄雄 もり-すみお

1919-2010 昭和-平成時代の俳人。
大正8年2月28日生まれ。昭和15年加藤楸邨(しゅうそん)の「寒雷」にはいり,のち編集長をつとめる。45年「杉」を創刊,主宰。53年「鯉素(りそ)」で読売文学賞,62年「四遠」で蛇笏(だこつ)賞。平成9年芸術院恩賜賞。同年芸術院会員。17年文化功労者。宇宙の広大さをよみこんだ句が特色。平成22年8月18日死去。91歳。兵庫県出身。九州帝大卒。本名は澄夫。句集はほかに「白小」,評論に「森澄雄俳論集」など。

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世界大百科事典(旧版)内の森澄雄の言及

【寒雷】より

…〈人間探求派〉と呼ばれた主宰者,加藤楸邨(しゆうそん)(1905‐ )は,〈真実感合〉の方法を提唱,生き生きとした実感を,対象と自己を一体にした発想において把握しようとした。楸邨のその志向のもとに,田川飛旅子(ひりよし),金子兜太(とうた),森澄雄らが輩出した。【坪内 稔典】。…

※「森澄雄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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