朝日日本歴史人物事典 「森田治郎兵衛」の解説
森田治郎兵衛
生年:天和3(1683)
江戸中期の機業家。丹後国(京都府)峰山の人。丹後縮緬の創始者のひとり。絹屋佐平治を名乗り,絹織物業を営む。享保4(1719)年,発起して京都西陣の織屋へ奉公。縮緬織の技術習得を計って帰郷するがうまくいかず,翌年,西陣秘伝の撚糸技術を持ち帰りはじめて縮緬製織に成功した。織り上げられた縮緬は京都の丹後屋源右衛門に売り込まれ,丹後縮緬の商品化の嚆矢となる。峰山藩も殖産政策の面から縮緬に注目し,佐平治に「お召・縮緬・ちりめんや」の屋号を与え,「森田治郎兵衛」を名乗らせた。江戸中期において,西陣の技術独占を掘り崩した機業家のひとりである。<参考文献>岩崎英精編『丹後ちりめん始祖伝』
(谷本雅之)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報