楽史(読み)がくし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「楽史」の意味・わかりやすい解説

楽史
がくし
(930―1007)

中国、北宋(ほくそう)初期の学者、小説作者。撫州(ぶしゅう)(江西省)の人。南唐、宋に仕え、著作佐郎、陵州知事、三館編修、著作郎、太常博士などを歴任した。著書には膨大な地理書である『太平寰宇記(たいへいかんうき)』200巻や『李白(りはく)別集』、小説集『広卓異記(こうたくいき)』など十数種があるが、とくに唐の楊貴妃(ようきひ)の生涯を描いた『楊太真外伝(ようたいしんがいでん)』や、晋(しん)の石崇(せきすう)とその愛妓緑珠(あいぎりょくしゅ)との悲劇を描いた『緑珠伝』は、宋代文言(文語体)小説の代表作として有名である。

[内山知也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「楽史」の意味・わかりやすい解説

楽史
がくし
Yue-shi; Yüeh-shih

[生]長興1(930)
[没]景徳4(1007)
中国,宋初の歴史家,文学者。撫州宜黄 (江西省) の人。字は子正。初め南唐に仕え,その滅亡後は宋の官僚となった。中央と地方の官を交互につとめ,著作郎,直史館や太常博士などを歴任。博学で特に歴史と地理に詳しく,主著太平寰宇記 (たいへいかんうき) 』は天下の地理を述べた書で,100以上の古書から資料をとっている。ほかに玄宗と楊貴妃を題材にした『楊太真外伝 (太真外伝 ) 』,晋の石崇と緑珠を題材にした『緑珠伝』などの伝奇小説の作がある。

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世界大百科事典(旧版)内の楽史の言及

【太平寰宇記】より

…中国の宋代の地理書。楽史(がくし)(930‐1007)の著。本文200巻と目録2巻から成る。…

※「楽史」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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