小さい(読み)チイサイ

デジタル大辞泉 「小さい」の意味・読み・例文・類語

ちいさ・い〔ちひさい〕【小さい】

[形][文]ちひさ・し[ク]
物の形・容積面積が、狭い空間や場所しか占めていない。「―・い家」「―・い花」⇔大きい
量・数が少ない。「記事を―・く扱う」「利幅が―・い商売」「―・い声で話す」⇔大きい
程度がわずかである。「影響が―・い」「朝晩温度差が―・い」⇔大きい
規模が普通以下である。「―・い台風」「―・い会社」⇔大きい
範囲が狭い。「―・い問題も大事にする」
心が狭い。度量が狭い。「気が―・い」「人物が―・い」⇔大きい
さいなさま。あまり重要でない。「―・いことでくよくよするな」⇔大きい
年齢が少ない。幼少である。「―・いころからよく知っている」⇔大きい
卑下した状態である。ちぢこまっている。「隅の方で―・くなっている」
10 金銭単位が下である。こまかい。「一万円札を―・くする」
[派生]ちいさげ[形動]ちいささ[名]
[用法]ちいさい・ちいさな――「もう少し小さい(小さな)声で話しなさい」「もっと小さい(小さな)ほうがいい」など、意味の上では、相通じて用いられる。◇「小さい」には「小さい家」「小さくなる」「小さかった」のように活用があるが、「小さな」は「小さな家」「小さな希望」「声の小さな人」のように体言の前にしか使えない。◇例えば「小さい家」と「小さな家」とでは、前者はある基準に照らし合わせての客観的な形容だが、後者表現者の主観的な判断が入っている場合がある。すなわち、「小さい家」は標準以下の意であるが、「小さな家」は標準以上であっても、周囲に比べてとか、持ち主の社会的地位から見ればとかを考えての表現になる場合がある。
[類語]しょう小さなちっちゃいちっぽけ細かい低い小さめ矮小わいしょう寸足らずちんちくりん微小微細細微細密緻密ちみつ細か小振り小形小柄小作り小粒豆粒芥子けし群小最小小規模細細ほそぼそ零細ちんまりこぢんまりちまちまミニ

ちさ・い【小さい】

[形][文]ちさ・し[ク]ちいさい」の音変化。
「つい其時の言葉迄―・い胸に刻み付けて置いた」〈漱石・彼岸過迄〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「小さい」の意味・読み・例文・類語

ちいさ・いちひさい【小】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]ちひさ・し 〘 形容詞ク活用 〙 体積・容積・面積・程度・度合などが、比較的に小である。
  2. 空間を占める体積・容積・面積・身長などが小である。小形である。
    1. [初出の実例]「ちひさき童をさきに立てて」(出典:伊勢物語(10C前)六九)
    2. 「なにもなにも、ちひさきものはみなうつくし」(出典:枕草子(10C終)一五一)
  3. 年齢が少ない。成熟していない。幼い。
    1. [初出の実例]「 小児 知比佐伊人也」(出典新撰字鏡(898‐901頃))
    2. 「稚(チヒサ)いをりから善く外へ出て」(出典:あらくれ(1915)〈徳田秋声〉一)
  4. 音量が比較的に小である。音、声などが低い。
    1. [初出の実例]「音勢もとよりはちいさくなりたれども」(出典:順徳院御琵琶合(1220))
    2. 「小さく叫んだ」(出典:風立ちぬ(1936‐38)〈堀辰雄〉風立ちぬ)
  5. 抽象的なものごとについて、その程度、度合、価値などが比較的に小である。
    1. (イ) 事柄の価値や重要性が乏しい。些細である。
      1. [初出の実例]「詔して賞罰支度(まつりことおきて)、事巨(おほきなる)と細(チヒサキ)と無く、並に皇太子に付(ゆた)にたまふ」(出典:日本書紀(720)雄略二三年七月(前田本訓))
      2. 「Chijsai(チイサイ) アヤマリヲ ヤメネバ、ノチニワ ヲウキナ アヤマリト ナル」(出典:天草版金句集(1593))
    2. (ロ) 行動や動作、つくりなどについて、その規模が小である。また、人物、気持などが卑小である。度量が狭い。
      1. [初出の実例]「ちいさい気からいへば一畳づり程になりて身の置所なし」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)一)
      2. 「江波は、〈略〉寛大な微笑をたたへて、小さく頭を下げた」(出典:若い人(1933‐37)〈石坂洋次郎〉上)
    3. (ハ) 卑下した状態にある。身を縮める思いでいる。また、つつましやかである。→ちいさくなる
      1. [初出の実例]「新吉は物をも云はず小さくかたまって坐り」(出典:真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉八八)
    4. (ニ) 単位が下である。こまかい。
      1. [初出の実例]「ちひさき金を二つばかり」(出典:人情本・春色恵の花(1836)二)
    5. (ホ) 数量や程度がわずかである。
      1. [初出の実例]「貧富の差も小さく」(出典:彼の歩んだ道(1965)〈末川博〉四)

小さいの派生語

ちいさ‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

小さいの派生語

ちいさ‐さ
  1. 〘 名詞 〙

ちさ・い【小】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]ちさ・し 〘 形容詞ク活用 〙 「ちいさい(小)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「ちさき家」(出典:経信母集(11C中か))
    2. 「こんこん小山のお月さま、ついたち二日はまだ小(チ)さい」(出典:童謡・こんこん小山の(1921)〈北原白秋〉)

ちっさ・い【小】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙 「ちいさい(小)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「はいらする・をどりのいろにちッさい子」(出典:雑俳・西国船(1702))
    2. 「お内儀さんも御健勝(おまめ)か、小児(チッサイ)のも出来てか」(出典:十三夜(1895)〈樋口一葉〉下)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ゲリラ豪雨

突発的に発生し、局地的に限られた地域に降る激しい豪雨のこと。長くても1時間程度しか続かず、豪雨の降る範囲は広くても10キロメートル四方くらいと狭い局地的大雨。このため、前線や低気圧、台風などに伴う集中...

ゲリラ豪雨の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android