内科学 第10版 「構造・機能」の解説
構造・機能(副腎髄質)
副腎髄質細胞は,重クロム酸カリウムで処理するとカテコールアミンの還元作用により胞体が褐色に染まるため,クロム親和性細胞(chromaffin cell)とよばれている.同様の細胞は交感神経節や傍神経節にも存在し,副腎外クロム親和性細胞とよばれる.光顕上は卵円形の比較的大型の細胞で,クロマチンに乏しい大型の核と好塩基性の細胞質を有する.電顕では胞体内に周囲を一重の膜で囲まれた直径150~350 nmの電子密度の高い顆粒が多数認められる(図12-7-1).これらはカテコールアミン顆粒(クロム親和性顆粒)とよばれ,カテコールアミンの生合成,貯蔵,分泌に関与している.副腎髄質はアドレナリン,ノルアドレナリンおよび各種の神経ペプチドやペプチドホルモンを分泌する.アドレナリンとノルアドレナリンは,それぞれ異なる細胞から分泌される.多数を占めるアドレナリン分泌細胞は比較的電子密度の低い小さな顆粒を有し,ノルアドレナリン分泌細胞はより電子密度が高く大きな顆粒を含む.副腎静脈に分泌されるカテコールアミンの80%はアドレナリンである.循環血液中のノルアドレナリンは大部分が交感神経終末から放出されたものであるが,アドレナリンはほとんどが副腎髄質由来である.[荒井宏司]
■文献
Kliegman RM, et al: Nelson Textbook of Pediatrics, 19th ed, pp1753-1757, Elsevier Saunders, Philadelphia, 2011.
Maris JM: Recent advance in neuroblastoma. N Engl J Med, 362: 2202-2211, 2010.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報