生物学では神経集網という。末梢神経系において,ニューロンの軸索(または神経繊維)がネットワークを形成しているところをいう。無脊椎動物でもクラゲの内傘面などに神経叢がある。ニューロンの軸索は豊富に分枝して他のニューロンの軸索の分枝と交錯するのであるが,それぞれのニューロンに属する軸索の分枝はあくまでもそれぞれ個々のニューロンの一部である。脊椎動物では,肉眼的に見える大きな神経叢としては,頸神経の前枝がつくる頸神経叢や腕神経叢,腰神経の前枝と仙骨神経の前枝がつくる腰仙骨神経叢(腰神経叢と仙骨神経叢)などがある。これらの神経叢の形成は,上肢や下肢の筋が複雑に配列し,しかもおのおのの筋は複数筋節に由来するためである。また,自律神経繊維は表のように,動脈のまわりや内臓の近くで多くの神経叢をつくる。顕微鏡で見えるような神経叢としては消化管の壁にある腸筋神経叢が有名であり,これには漿膜下神経叢,筋層間神経叢(アウエルバッハの神経叢),粘膜下神経叢(マイスネルの神経叢)が区別されている。
→自律神経系 →神経系
執筆者:水野 昇
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…しかし棘皮(きよくひ)動物のヒトデやウニでは,体は幼生のとき左右相称で,成体になると放射相称に変わり,神経系は腔腸動物のように放射状,輪状になる。 プラナリアのような扁形動物では,はしご型で左右の索は互いに節状に横に走る繊維で連絡され,また索から末梢へ細い繊維が出て体の表面下に,あるいは消化管の壁に神経叢をつくる。環形動物たとえばミミズでは,腹側の神経索に沿って,各節ごとに細胞の集団つまり神経節が形成される。…
※「神経叢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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