改訂新版 世界大百科事典 「横谷藍水」の意味・わかりやすい解説
横谷藍水 (よこたにらんすい)
生没年:1720-78(享保5-安永7)
江戸中期の漢詩人。名は友信,字は文卿,通称は玄圃。江戸の人。代々の彫工の家に生まれたが,6歳で失明し,鍼(はり)医として身を立てた。17歳のとき,服部南郭の《唐詩選》講釈を聞いて漢詩に興味を持ち,南郭と同じく荻生徂徠門下で,盲目の詩人として著名な高野蘭亭に入門した。やがて蘭亭門の五子の第一と称されるほどの才能を現し,門人も多くなったので,専門詩人として立った。宝暦(1751-64)ころの江戸では,詩文の教授をもって生計を立てる者として南郭,蘭亭とともに藍水が名高く,1757年(宝暦7)に蘭亭が,59年に南郭が没して後は,詩を学ぼうと欲する者は争って藍水の門に至ったという。著書に《藍水遺草》がある。
執筆者:日野 竜夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報