欠品率(読み)けっぴんりつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「欠品率」の意味・わかりやすい解説

欠品率
けっぴんりつ

需要(注文)に対し、商品供給納品)できなかった割合をいうマーケティング用語。総顧客数に対し欠品で対応できなかった顧客数の比率、総注文商品数に対する欠品を起こした商品数の比率、総需要額に対する欠品で逃した売上高の比率など、さまざまな比率として計算されている。欠品率が上昇すると、売上げ機会を逃す確率が高くなるほか、事業としての信用力や魅力を失いかねず、競争力が低下するとされている。一般に、欠品率は売れ筋商品ほど高くなる傾向があるが、欠品を完全に排除しようとすると、膨大な在庫をもたねばならず、コストがかさむうえ、売れ残りのリスクを抱えることにもなる。このため、マーケティングでは欠品による売上げ機会の損失と在庫コストなどのバランスを考え、最適な「許容欠品率」を設定することが重要とされる。なお、小売店頭での欠品率は「品切れ率」とよばれることもある。

 欠品にはさまざまな定義があり、事業主にとっては在庫がなくなった状態が欠品であるが、顧客にとっては、倉庫などに在庫があったとしても売り場や陳列棚に商品がない状態が欠品となる場合がある。また供給すべき商品がまったくない状態を「絶対的欠品」というのに対し、在庫はあっても売り場などで極端に商品が少なくなり、顧客の購買意欲が低下してしまう状況を「相対的欠品」とよぶ。マーケティングでは、絶対的欠品だけでなく、相対的欠品にも注意が必要とされている。

 欠品率と反対に、品切れを起こさずに顧客注文に対応できた割合をサービス率という。「欠品率(%)=100%-サービス率(%)」という数式が成立し、欠品率が50%の場合にはサービス率は50%になり、欠品率が0%ならばサービス率は100%である。一般に日本の企業海外に比べ、欠品率が低くサービス率が高い傾向にあるが、その分、過剰在庫を抱えがちとされている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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