武志村(読み)たけしむら

日本歴史地名大系 「武志村」の解説

武志村
たけしむら

[現在地名]出雲市武志町

斐伊川左岸にあり、南は杼島とちじま村、北西稲岡いなおか村。中世には武志郷とよばれ、杵築大社(出雲大社)領一二郷の一つ。平安後期に杵築(大社町)に移住した国造出雲氏は斐伊川下流域一帯の開発を進めたが、当郷もそのなかの一つである。建久二年(一一九一)七月日の出雲国在庁官人等解(千家家文書)に「去久安三年十一月廿四日御遷宮、伯父国造兼忠奉懐御体、申寄鳥屋・武志両村」とみえる。この記載を認めるとすれば、武志村の成立は久安三年(一一四七)以前までさかのぼることとなる。康元元年(一二五六)一二月日の杵築大社領注進状(北島家文書)によると田数は五八町二四〇歩で、うち定田は四五町一二〇歩であった。また除田のなかには真木曾禰まきそね別所として二町七段一二〇歩の免田が記載される。室町期になると杵築大社領は他領主によって侵食を受けるが、当郷も例外ではなかった。永享二年(一四三〇)五月三日の両国造北島高孝・千家高国連署申状(同文書)によると、「拾弐郷之内武志郷・鳥屋郷」が塩冶貞吉によって押領されようとしているとして、往古のように一二郷を国造の管領として認められたい旨を出雲国守護所に訴えている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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