日本大百科全書(ニッポニカ) 「武蔵御嶽神社」の意味・わかりやすい解説
武蔵御嶽神社
むさしみたけじんじゃ
東京都青梅(おうめ)市御岳山(みたけさん)に鎮座。旧府社。櫛真知命(くしまちのみこと)を祀(まつ)り、相殿(あいどの)に大己貴命(おおなむちのみこと)・少彦名命(すくなひこなのみこと)を配祀(はいし)する。創祀不詳だが、1622年(元和8)成立の『御嶽山社頭来由記』や『新編武蔵風土記(ふどき)稿』では、当社の地主神がもと延喜(えんぎ)式内の大麻止乃豆乃(おおまとのつの)天神社なりとし、中世に修験道(しゅげんどう)が進出して金峯山蔵王権現(きんぷせんざおうごんげん)を主祭したため前社が末社化したとする。1869年(明治2)神仏分離の際、一時式内の社号に復したが、のちに現社号に改めた。中世に東国霊場として足利(あしかが)、畠山(はたけやま)など関東武士の崇敬厚く、江戸幕府も30石の朱印領を安堵(あんど)した。社宝は、国宝の伝畠山重忠(しげただ)奉納の赤糸威鎧(あかいとおどしよろい)(12世紀)や円文螺鈿鞍(えんもんらでんぐら)(13世紀)をはじめ多数を蔵している。
[薗田 稔]