段塔(読み)ダントウ

化学辞典 第2版 「段塔」の解説

段塔
ダントウ
plate column

塔内を多くの段板で区切った塔の総称で,蒸留吸収抽出などの気-液あるいは液-液相の接触操作を階段的に行わせる装置.異相間の熱または物質移動による相互の良好な接触を目的としている.構造は大別して,
(1)下降管を有していて,連続相と分散相とが十字流接触するものと,
(2)下降管がなく,段板に比較的大きい多数個の孔などを有し,連続相,分散相とも孔を通して上,下段に流れ,向流接触するものとがある.
(1)の例としては,多孔板塔泡鐘塔などがあり,(2)の例としては,ターボグリッドトレイやリップルトレイなどがある.[別用語参照]十字流接触操作向流接触操作

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「段塔」の意味・わかりやすい解説

段塔
だんとう
plate column; tray tower

熱移動や物質移動を異相間で行わせる目的で,両相の良好な接触をはかる棚段を数多く設けた代表的接触装置である。棚段塔ともいう。蒸留の精留塔,ガス吸収の吸収塔として用いられる。最も普通に使われる段塔は泡鐘塔 (ほうしょうとう) で,段板を泡鐘段といい,各段板に短い円筒形の蒸気上昇孔を設け,その上に帽子をかぶせてある。この孔を通って上昇する蒸気は,帽子の縁の鋸歯状スロットから気泡となって液相を通過するとき接触が行われる。ほかに多孔板塔があり,これは各段板が,単に有孔板や金網でできているもので,構造が簡単で性能がよく,空気分離塔などに使う。

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