母成峠(読み)ぼなりとうげ

日本歴史地名大系 「母成峠」の解説

母成峠
ぼなりとうげ

安達太良山の南西山腹、東方にそびえる日蔭ひかげ(一〇七五・五メートル)の鞍部を越える峠で、猪苗代町蚕養こがいと郡山市熱海あたみ石筵いしむしろを結ぶ。標高九七二メートル。石筵峠ともよばれ、また暮成・保成・方鳴などとも記す。近世には二本松藩領石筵村と会津藩領小田おだ村との境に位置する藩境の峠で、会津・猪苗代地方から川沿いに上り、二本松城下方面へ向かう道として利用された。源義家は当峠を通って会津に入ったと伝え、峠道沿いには義家にまつわる伝承が多く残されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「母成峠」の意味・わかりやすい解説

母成峠
ぼなりとうげ

福島県中央部、郡山市(こおりやまし)と耶麻(やま)郡猪苗代町(いなわしろまち)の境界にある峠。標高972メートル。保成峠とも書く。安達太良(あだたら)山と川桁(かわげた)山地に挟まれた鞍部(あんぶ)で、戊辰戦争(ぼしんせんそう)の際、会津勢が峠に陣を構えたが、西軍はこれを破り、猪苗代方面に攻め込んだことで知られる。1974年(昭和49)郡山市石筵(いしむしろ)と猪苗代町中ノ沢温泉間に有料道路母成グリーンライン(2006年無料開放)が通じた。付近には銚子(ちょうし)の滝や郡山石筵ふれあい牧場、県農業総合センター畜産研究所沼尻分場がある。

[安田初雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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