日本大百科全書(ニッポニカ) 「母関数」の意味・わかりやすい解説
母関数
ぼかんすう
generating function
数列a0,a1,……,anに対しtの関数
をその母関数という。たとえば(1+t)mは二項係数
の母関数である。同様に無限数列anや関数列fn(x)に対し、それぞれ
をその母関数という。また
を数列anの指数的母関数といい、関数列についても同様である。
応用上重要な母関数としては、
などがある。Bn,Enはそれぞれベルヌーイ数、オイラー数であり、Pn(x),Jn(x)はそれぞれルジャンドルの多項式、ベッセル関数である。母関数が知られていれば、数列や関数列の積分表示を与えることができる。たとえば、関数列fn(x)について
が成り立つ。ここで積分は複素積分で、Cは原点を中心とする正の向きの十分小さな円周である。また、母関数を用いて数列や関数列の間の関係が簡明に求まることがある。たとえばベルヌーイ数について、その母関数から
だから、両辺に(n+1)!を掛けてtnの係数を比較することにより、
という関係式を得る。
[小林良和]