比志賀郷(読み)ひしかごう

日本歴史地名大系 「比志賀郷」の解説

比志賀郷
ひしかごう

おと川上流一帯で、額田郡東北部の山間地域。中世は北部が保久ほつきゆう郷、南部が夏山なつやま郷、西部中山なかやま郷と接する。日近ひちか郷ともいう。足利氏の重臣高氏が、名之内広祥なのうちこうしよう院を建保二年(一二一四)に建立して比志賀郷七ヵ村を本領とすると伝える。永仁四年(一二九六)高右衛門入道師氏が額田郡比志賀郷を娘の稲荷女房に譲渡した証文がある(総持寺文書)。また同日付で、足利尊氏の父貞氏が稲荷女房への高心仏(師氏)財産分与安堵を認めた証文(同文書)には、

<資料は省略されています>

とある。承久の乱(一二二一)以降に足利義氏が三河国守護に任じられ、三河国内に所領を有した。足利氏は額田郡の支配を高氏に任せたらしく、高氏は比志賀郷などを与えられていた。永仁四年に稲荷女房領になり、稲荷女房は出家して総持そうじ(現岡崎市)に入り、尼心妙と称した。観応二年(一三五一)心妙に対して足利直義が当郷を安堵している(総持寺文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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