安堵状(読み)アンドジョウ

デジタル大辞泉 「安堵状」の意味・読み・例文・類語

あんど‐じょう〔‐ジヤウ〕【安×堵状】

安堵3を記した文書

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精選版 日本国語大辞典 「安堵状」の意味・読み・例文・類語

あんど‐じょう‥ジャウ【安堵状】

  1. 〘 名詞 〙 中世近世において、特定の対象についての知行権、領有権、所有権などを確認あるいは承認する公文書。下し文や下知状(げちじょう)の形式による安堵状を安堵の御下し文、安堵の下知状などと呼ぶ。鎌倉時代には、右のほかに、譲り状和与状の袖(文書の右端の空所)に安堵の袖判を加えた外題安堵(げだいあんど)の形式があり、室町時代には、将軍御教書奉書の形式によるものがあった。また、江戸時代には朱印状の形をとった御朱印がある。→安堵(あんど)

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百科事典マイペディア 「安堵状」の意味・わかりやすい解説

安堵状【あんどじょう】

中世から近世において,所領や所職の確認(安堵)を行う際,証文として発給された文書。主に武家社会で主人から家臣に対し発給されたが,南北朝期以後は武家から寺社公家に対しても出され,また公家社会でも鎌倉時代から治天の君(ちてんのきみ)による安堵の場合などに用いられた。文書形式は,鎌倉幕府から御家人に対しての譲与安堵は下文(くだしぶみ)・関東下知状(かんとうげちじょう)で行われたが,1303年以後は譲状の余白に執権・連署が署名する外題(げだい)の形をとるようになった。その後足利直義・義詮の下文として継承され,室町幕府では御判御教書(ごはんのみぎょうしょ)が使用された。公家の場合は院宣・綸旨が用いられた。戦国期以降は判物(はんもつ)・印判状が使用され,江戸時代将軍は朱印状大名は黒印状で発給した。
→関連項目安堵

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改訂新版 世界大百科事典 「安堵状」の意味・わかりやすい解説

安堵状 (あんどじょう)

中世・近世の武士社会において主人が家臣の所領の知行を改めて確認(安堵)した文書をいう。これにより法律上の保護を受けることができた。安堵状は鎌倉幕府では下文(くだしぶみ),下知状(げちじよう),御教書(みぎようしよ)を用い,安堵の下文のように称せられた。惣領が一括して所領を知行するときは安堵の下文を惣領へ下し,分割知行した場合は嫡子へは下文を,庶子分には下知状を用いた。のち嘉元年間(14世紀はじめ)にこの区別をやめて両者とも申請者の提出した譲状の余白に執権・連署が安堵した旨を記し,署判して当該者へ返付する方法になった。いわゆる安堵の外題(げだい)である。南北朝時代足利氏は所領の充行(あておこない)には尊氏の下文,安堵には直義の下文を用いた。義詮・義満両代は将軍の下文と袖判の御教書が用いられ,15世紀はじめ以降は後者のみになった。戦国大名は判物(はんもつ)あるいは印判状を用い,江戸時代では将軍は判物,または朱印状を,大名は判物あるいは黒印状を用いた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「安堵状」の意味・わかりやすい解説

安堵状
あんどじょう

武家社会において、主君が家臣の旧来の所領の支配、保持を保障し確認した文書のこと。形式によって安堵下文(くだしぶみ)、安堵下知状(げちじょう)、安堵御教書(みぎょうしょ)などに分けられる。鎌倉時代では御家人(ごけにん)の所領の譲渡がされると、相続人は安堵申状(もうしじょう)に譲状(ゆずりじょう)などの証拠書類を添えて幕府に提出した。幕府はこれを審査し正当であれば安堵状を下付した。安堵状は惣領(そうりょう)には下文、庶子には下知状形式で出されたが、1303年(嘉元1)から譲状の余白に安堵の旨を書き込む外題(げだい)安堵の形式に改められた。室町幕府も初期には足利直義(あしかがただよし)の安堵下文で安堵がなされたが、3代義満(よしみつ)以後は将軍から発給される御判御教書(ごはんのみぎょうしょ)の形式が一般化した。その後、戦国時代には戦国大名による判物(はんもつ)、印判状(いんばんじょう)形式の安堵状がみられる。また、近世に入ってからも将軍や受封者の代替りに際しては判物や朱印状(しゅいんじょう)による安堵が行われ、依然武家社会の主要文書として作成されていた。

[加藤 哲]

『相田二郎著『日本の古文書』(1949・岩波書店)』『佐藤進一著『古文書学入門』(1971・法政大学出版局)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「安堵状」の意味・わかりやすい解説

安堵状
あんどじょう

安堵」のページをご覧ください。

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