毛皮のマリー

デジタル大辞泉プラス 「毛皮のマリー」の解説

毛皮のマリー

日本の演劇作品。1967年9月、作・演出寺山修司により、東京の新宿のアートシアター新宿文化にて演劇実験室◎天井桟敷初演。丸山明宏(のちの美輪明宏)にあてて書かれた作品で、伝説の男娼マリーと、その息子として育てられた美少年・欣也との倒錯した近親愛と憎悪の世界を描き、興行的にも成功をおさめた。衣装はコシノジュンコが担当。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の毛皮のマリーの言及

【前衛劇】より

…自由劇場は68年には〈六月劇場〉〈発見の会〉と合同して〈演劇センター68/69〉と改組,さらに70年からは〈演劇センター68/70〉としてトラックで移動する黒色テント公演に入るが,その中でも佐藤は《鼠小僧次郎吉》《喜劇阿部定――昭和の欲情》など多くの好戯曲を執筆・演出して,中心的な役割を果たした。 また,学生時代から短歌や俳句,詩などで早熟な才能を示していた寺山修司は,67年,東由多加(ひがしゆたか),画家の横尾忠則らと〈演劇実験室天井桟敷〉を結成,同年《青森県のせむし男》《大山デブコの犯罪》《毛皮のマリー》を執筆・上演して一躍,脚光を浴びた。これらは都会の暗い密室のなかに,突如として侏儒(しゆじゆ),大女,女装者,美少年などの奇優・怪優を出現させる強く〈見世物〉的な性格を帯びた劇であったが,そのような巧みに演出された反・公的な世界,日常世界の規範によって負の価値を帯びたものとしていわれなく排除された肉体・精神が共存する〈全的な世界〉の中で,われわれの無意識下に潜むさまざまな想念が検証されるのであった。…

※「毛皮のマリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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