日本大百科全書(ニッポニカ) 「氏子入れ」の意味・わかりやすい解説
氏子入れ
うじこいれ
生後初めての氏神参りによって、氏子としての承認を得る行事。初宮参りは男児が32日目、女児が33日目という場合が多く、同一地域内でも男女によって日数が異なっているのが普通である。また、早い所ではお七夜から、遅い所ではモモカマイリといって100日目のこともある。この宮参りをヒアキ、ウブアケ、シメアゲなどともよぶのだが、これは出産に伴う忌み明けを意味している。宮参りは、赤子の忌みが明けてから連れて出すことになる。ただ、母親の忌みは明けきっていないものとして、姑(しゅうとめ)、産婆が連れていくことが多い。母子の忌み明けの段階が異なるものと考えて、30日前後には鳥居参り、サカ参りといって鳥居までしかいかず、改めて75日目や100日目に参るという例もある。赤飯や餅(もち)などを持参して、帰途子供たちに配ったりする。神前で赤子をつねってわざわざ泣かせるなどして、氏子としての承認と加護を得ようとすることもある。
なお、「七つまでは神の子」ということばに示されるように、この歳を境にして地域社会の成員とみなされる行事がある。ナナツゴマイリとかコアラタメとかといって、氏神に詣(もう)でることは広い地域で行われている。帯解(おびとき)祝いと称して、大人と同様の紐(ひも)のない着物を着せることも、7歳が中心となっている。こうした際に氏子総代や氏神社から氏子札が渡される。こうしてその存在を承認されるのである。
[佐々木勝]