家庭医学館 の解説
きをつけたいはいべんこんとろーるとこうもんのせいけつ【気をつけたい排便コントロールと肛門の清潔】
便秘によってかたくなった便をむりに押し出そうとすると、肛門の静脈(じょうみゃく)がうっ血(けつ)して痔核(じかく)ができやすくなるだけでなく、肛門の粘膜(ねんまく)を傷つけて裂肛(れっこう)の原因になったりします。
逆に、下痢(げり)が続くと肛門のわずかな傷からも便が入り込んで炎症をひどくしたり、膿(うみ)をためたりします。
このように、排便の乱れは肛門には大敵となるため、日ごろから便秘や下痢をおこさぬように注意しなければならないのです。
排便コントロールとともに重要なのが、肛門の清潔です。
排便後に紙で拭(ふ)く程度では肛門の周囲は十分清潔にはなりません。肛門を汚れたままにしていると、うっ血がおこったり、かゆみや痛みの原因になったりします。
肛門部の清潔のためにいちばんオーソドックスでよい方法は坐浴(ざよく)(温浴)です。排便後、大きめの洗い桶(おけ)に適温の湯をため、臀部(でんぶ)をしばらく浸してから洗浄する方法です。シャワーや温水の出る洗浄器付きトイレを使うのもよいでしょう。
坐浴を行なうと、肛門とその周辺が清潔になるだけでなく、湯で温まることで肛門括約筋(こうもんかつやくきん)の緊張がとれ、痛みがやわらぐ効果もあります。