気候感度(読み)きこうかんど(その他表記)climate sensitivity

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「気候感度」の意味・わかりやすい解説

気候感度
きこうかんど
climate sensitivity

気候システムの特性を表す指標の一つ。大気中の二酸化炭素濃度が 2倍に増えると,地球に出入りするエネルギー均衡が最初に破れ,正の放射強制力を生じる。しかし長い時間がたつと,気候システムの状態が変化しエネルギーの不釣り合いは解消される。この十分に時間が経過し最終的に落ち着いた状態までの世界平均気温の変化(℃)を気候感度(平衡気候感度)という。気候感度は放射強制力と気温変化を結びつける係数という意味合いをもち,将来どのくらい世界平均気温が上昇するかを決める重要な要素の一つである。気候変動に関する政府間パネル IPCC第5次評価報告書によると,気候感度は 1.5~4.5℃の範囲である可能性が高く,この不確実性は世界平均気温の予測に幅を生じる主要因の一つである。降水量などの気温以外の気候要素や地域ごとの気温は世界平均気温に強く連動しているため,将来の世界平均気温の予測は地球温暖化に関する国際政治の場でもよく参照される。したがって,気候感度の不確実性を低減することは国際社会に深くかかわる大きな課題となっている。

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