気候をただ一つの値で示すような観測器械も観測方法もないので,ある地点の気候を知るには,日照,日射,気温,地温,湿度,降水量(雨量),蒸発量,気圧,風向,風速,雲量,積雪の深さなどの,気候を構成する要素に分けて数量的に調べ,これらを組み合わせて気候を表す方法がよく用いられる。これらの要素は,気象や天気を知るために行われる気象観測の項目にもなっているので,気象要素でもあるが,観測資料が気候を表現するのに便利なように,平均などの統計処理や記述をした場合に気候要素という。
大気の総合状態である気候を表現する方法は,多くの気候学者によっていろいろな研究がされてきたが,上記の直接観測によってわかる要素以外に,可降水量,蒸発散位,高気圧や低気圧の度数なども気候要素の中に含めて考えることがある。可降水量は地表から大気の上限までの気柱の中に含まれる水蒸気量がすべて降水になったと仮定したときの降水量,蒸発散位は土壌水分が飽和状態にあるとき,緑色植物に完全におおわれた地表面からの蒸発散量であるから,いずれも一つまたはいくつかの気候要素の組合せで計算される量である。
以上のように気候要素は気候そのものではないが,気候を知るうえのもっとも重要な構成要素である。
執筆者:河村 武
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