改訂新版 世界大百科事典 「永久凍結気候」の意味・わかりやすい解説
永久凍結気候 (えいきゅうとうけつきこう)
ice climate
最暖月平均気温が0℃未満の氷雪気候nival climateの一つ。氷雪気候とは,降水が雪の形をとり,かつ融解や蒸発などによって消失する量よりも新しく降り積もる雪の量の方が多い気候のことをいうが,全部雪となって降らず雨も交えることもある半氷雪気候に対して,まったく雪だけで雨を伴わない完全氷雪気候のことを永久凍結気候という。この気候地域はグリーンランドや南極大陸などに分布し,年中氷雪原がみられ,大陸氷河が発達している。周極風帯でもあり,東よりの極風が吹き,ときには極地特有のブリザードなどがみられる。植物はまったく分布せず,土壌は永久凍土となっている。都市はなく,南極の観測基地を除き無居住地域となっている。この気候の周辺からツンドラ気候にかけてはアザラシなどを狩猟するエスキモーなどの寒地民族が居住している。標高3000m以上の高山はこの気候に類似している。
執筆者:福岡 義隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報