永久凍土(読み)えいきゅうとうど(英語表記)permafrost

翻訳|permafrost

精選版 日本国語大辞典 「永久凍土」の意味・読み・例文・類語

えいきゅう‐とうど エイキウ‥【永久凍土】

〘名〙 気候区分のほぼ寒帯地域に分布する、摂氏零度以下を保冷する地層グリーンランド南極大陸などの一年中氷雪にうもれた、不毛の無居住地を構成する。

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デジタル大辞泉 「永久凍土」の意味・読み・例文・類語

えいきゅう‐とうど〔エイキウ‐〕【永久凍土】

一年じゅう地中温度がセ氏零度以下で常に凍結している土地シベリアカナダ・グリーンランドに広く分布。

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改訂新版 世界大百科事典 「永久凍土」の意味・わかりやすい解説

永久凍土 (えいきゅうとうど)
permafrost

少なくとも連続する2冬とその間の1夏を含めた期間より長い間,凍結状態にある土のこと。冬に気温が0℃以下になると土が凍る。ひじょうに寒い所では凍った土が夏に溶けきらないうちに,次の冬がやってきて,再び地面から凍り始め,下の凍土につながる。そして凍土の温度が下がり,さらに下方へと凍結が進む。溶けたり凍ったりするのは,ごく表層の活動層だけで,その下には永久に溶けることのない土,永久凍土がある。その分布は現在,シベリア,アラスカ,カナダ北部,中国奥地に広くひろがり,面積は21×106km2で,地球上の全陸地の14%を占める。永久凍土の厚さは,北へ行くに従い厚くなる。北極海岸のアラスカのバロー(年平均気温-12.4℃)で300~400m,シベリア内陸部のヤクーツク(年平均気温-10.1℃)で250mである。

 永久凍土地帯でも表層の活動層のために植生がみられる。北極海岸は高木のないツンドラ帯で,内陸に入ると樹林が現れる。年間降水量は,北極海岸のツンドラ帯で150mm,内陸の樹林帯で300~400mmである。永久凍土地帯には次のような特異な地形や氷塊が見られる。(1)構造土 地表面に見られる規則的な凹凸模様の繰返しで,模様の形状から円形土,網状土,多角形土,階段土,線伏土に分けられる。(2)氷楔 活動層と永久凍土との境界面から下に向かって頂点を下に,地中くさびを打ち込んだ形の氷塊。(3)ピンゴpingo 平らな湿地帯の中にぽつんと盛り上がる小丘で,丘の内部には氷が詰まっている。高さは数mから60mくらいまである。(4)アラスalas シベリアのヤクーツク周辺に多く見られる地形で,樹林帯中にぽつんと開ける皿状のくぼ地である。くぼみの深さは1mから10mどまり,広さは直径数十mから数kmに及ぶ。なかには湖をなすものもある。(5)集塊氷 海岸や湖岸の崖に露出している巨大な氷塊で,通常,地表より2~5m下へ延びて,30mくらいにも及ぶ。その横のひろがりは,数十mから1kmくらいにも及ぶ。凍土層からは1万~15万年前のマンモスが凍ったまま掘り出されており,古い時代からずっと凍ったままであることを示している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「永久凍土」の意味・わかりやすい解説

永久凍土
えいきゅうとうど
permafrost

土壌または風化層のすきまに含まれる水分が凍結し,全層を岩石のように固化させている部分を凍土といい,凍土の存在する地帯をツンドラという。地下の深部では温度が年間を通じて一定に近くなるが,これが氷点下であると凍土が永久に融解しない。これを永久凍土といい,その分布は年平均気温が氷点下の地域とほぼ一致している。気温が0℃をこえる季節には地表付近の凍土は融解するが,永久凍土の層より下方への水分の浸透は不可能であるから,地表の土壌は排水不良のためグライ層や泥炭で特徴づけられるツンドラ土となっている。永久凍土の厚さは数mから数十m,ときには数百mに達するものも知られており,シベリア,カナダ,アラスカの北部に広く分布する。南半球ではチリの南端付近に限定されている。永久凍土はきわめて固く凍結しているが,重量建造物を支える力はないうえに,除去することは一層困難なので,建築,土木工事にとって大きな障害となる。また春の融雪季に河川への集水量を急増させる原因となり,洪水を引起す。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「永久凍土」の意味・わかりやすい解説

永久凍土
えいきゅうとうど

地温が夏の間も高くならず、少なくとも1年以上連続的に0℃以下の地温状態を保っている土壌や岩石。パーマフロストpermafrostともいう。北極を中心とするカナダ、アラスカ、シベリアなどの高緯度地域と南極大陸に広く分布し、その全面積は全陸地面積の23%(約3500万平方キロメートル)に及ぶ。永久凍土のある地域では、夏に地表面付近がわずかに溶けるだけで、地下はつねに凍結しているため、周氷河地形とよばれる独特の地形が発達する。永久凍土地域の植生は一般に貧弱で「ツンドラ植生」とよばれる。永久凍土の厚さは最大で600メートルにも達することがある。永久凍土は気候の寒冷な高山でもみられ、日本では富士山頂と北海道の大雪山で発見されている。

[小野有五]

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百科事典マイペディア 「永久凍土」の意味・わかりやすい解説

永久凍土【えいきゅうとうど】

地中温度が年間を通じて0℃以下で常に凍結している土壌および表層の岩石。シベリア,カナダ,グリーンランドに広く分布し,全陸地の約14%を占める。深い所は200〜600mに達する。永久凍土の多くは,数万年前から続くウルム氷期の周氷河現象の遺物と考えられる。夏季には表面だけ解け,この融解部を活動層という。活動層は含水比が高く軟弱なため,不等沈下による地表面の変形など地盤災害をおこしやすい。
→関連項目周氷河地形ツンドラプトラナ高原メタン・ハイドレート

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岩石学辞典 「永久凍土」の解説

永久凍土

永続的に凍結した土地[Muller : 1947].pergelisol, tjaeleと同義.ペルゲリソン(pergelison)[Bryan : 1946].

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