日本大百科全書(ニッポニカ) 「江崎悌三」の意味・わかりやすい解説
江崎悌三
えさきていぞう
(1899―1957)
昆虫学者。東京に生まれ、1923年(大正12)東京帝国大学理学部動物学科卒業。同年九州帝国大学助教授。1924年昆虫学研究のためヨーロッパに出発、1928年(昭和3)帰国。1930年九州帝国大学教授、理学博士の学位を受ける。その後、九州大学農学部長、教養部長、日本学術会議会員、日本昆虫学会会長、日本鱗翅(りんし)学会会長などを歴任した。水生半翅類分類の世界的権威で、国際昆虫学会議常任委員として国際的に活躍。昆虫全般、動物地理学、動物関係科学史にも造詣(ぞうけい)が深く、全国の昆虫研究者の尊敬と信頼を集めた。水生半翅類の分類のほか、日本とその近隣のチョウ、ミクロネシアの動物相、ウンカの生態などの研究に貢献が大きい。『日本昆虫図鑑』『動物学名の構成法』『土壌昆虫の生態と防除』『太平洋諸島の作物害虫と駆除』などの著書がある。
[白水 隆]