翻訳|biogeography
燃生物の地理的分布およびそれに関連する諸問題を研究する学問。生物の分布パターンを調査し、それがどのようにして生じたかを説明しようとするもので、対象のとらえ方と方法により、生物区系地理学、生物系統地理学、古生物地理学というような種・属・科などさまざまなレベルの分類群の地理的分布およびその成立過程を扱う分野と、生物生態地理学とよばれる分野に大別される。さらに、ファウナ(動物相)やフロラ(植物相)の成立・維持・変動を理論的に考察する理論生物地理学とでもいうべき新分野も発達した。また、対象とする生物群の違いによって、動物地理学、植物地理学などに分けられる。生物区系地理学ではさまざまな生物の分布域の類似に基づいて分布域型を設定するが、これによって地球上の動物相や植物相の空間的区分を知ることができる。このような生物分布の区分の大きな単位として、動物地理区、植物地理区がある。生態地理学的研究では、生物を取り巻くさまざまな環境、とくに気候とそれに対応した生物の生活形が重視され、分類学的構成はあまり重要視されない。この分野では、植物群落を対象とした研究で成果があがっており、そのなかの植生地理学では、構成している主要植物の生活形によって個々の植物群落が分類され、その分布の原因が究明される。
[片倉晴雄]
動植物の現在の分布とその成因を明らかにする学問。生物の分布は地理的,地史的な要因と,生態的,環境的な要因とによって左右される。そのいずれの要因に重きを置くかによって生物地理学は大きく二つに分けられる。(1)分類地理学taxogeography 生物分布学とほぼ同義。主として生物の地理的な分布を扱うもので,各地の動物相,植物相を明らかにし,そのタイプから生物地理区分すなわち動物地理区や植物区系を設定し,そこに含まれる生物の系統的類縁を手がかりに,各地理区分の地史的関係を明らかにすることを目的とする。古生物地理学も広い意味ではこれに含まれる。(2)生態地理学ecogeography 主として生物の生態的な分布を扱うもので,気候との関係を重視する気候地理学,生態的な環境分類を目ざす環境地理学,さらに各生物相が群集としていかなる生態学的構造をもつかを明らかにする群集地理学などが含まれる。なお対象とする生物の違いによって,植物地理学と動物地理学が区別される。
執筆者:黒田 長久
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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