江戸歌(読み)えどうた

改訂新版 世界大百科事典 「江戸歌」の意味・わかりやすい解説

江戸歌(唄) (えどうた)

三味線音楽の一種目。もとは京坂のみに伝承された江戸長唄および豊後系浄瑠璃常磐津富本清元)の総称。現在では上方歌の一部で,舞地(まいのじ)(伴奏)や寄席の音曲,下座歌として使われることが多い。文化年間(1804-18)以降に使われたことばらしく,明治初年にかけて多くの稽古本,寄本類が刊行されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「江戸歌」の意味・わかりやすい解説

江戸歌
えどうた

日本音楽の種目名。本来上方において,江戸長唄その他の江戸の歌曲を総称して呼んだ用語であったが,長唄とか常磐津といった種目の判然としないもので,地歌以外の上方で行われた歌曲をいうようになった。今日では,むしろ上方にだけ伝存しているものは,上方歌というべきである。

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世界大百科事典(旧版)内の江戸歌の言及

【地歌】より

…古くは盲人の扱った三味線音楽を総称して〈弦(絃)曲〉ともいい,語り物の〈浄瑠璃〉に対して,単に〈歌(うた)〉とも〈歌曲〉ともいったが,江戸ではこれを〈上方歌(唄)〉ともいい,また,専業者の関係から〈法師歌〉ということもあった。文化(1804‐18)ころに上方に江戸の三味線音楽が流入し,それらを〈江戸歌〉と総称するに至って,これに対して〈地歌〉と呼ぶようになった。《守貞謾稿》には,〈地唄〉と表記されているが,関西では〈唄〉の字の用字例は少ない。…

【長唄】より

…明治以降,本来は歌舞伎に付随していた三味線音楽の〈ながうた〉に対して,とくに〈長唄〉と表記することが普通となった。ただし,関西では他の江戸系の浄瑠璃や端唄とともに,〈江戸歌〉と総称することもあった。なお,地歌の細分類名称として〈長歌(ながうた)〉という分類もあるが,歌舞伎音楽の〈ながうた〉とは直接の関係はない。…

※「江戸歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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