日本大百科全書(ニッポニカ) 「沖牙太郎」の意味・わかりやすい解説
沖牙太郎
おききばたろう
(1848―1906)
経営者。現沖電気工業の創設者。安芸(あき)国(広島県)沼田郡に生まれる。銀細工修業を経て1874年(明治7)上京。まもなく工部省電信寮製機所に入所し、同省技手に抜擢(ばってき)された。81年、同省を辞し、明工舎を設立、電気通信機器メーカーとして、日清(にっしん)戦争期(1894~95)までにわが国同業界の最大手の地位を築いた。事業は日清戦争後さらに発展し、98年にはアメリカのウェスタン・エレクトリック社から資本提携の申入れもあった。これは拒否し、1900年(明治33)匿名組合沖商会を設立、組織の強化を図るとともに、その後の発展の基礎を築いた。
[小早川洋一]
『久住清次郎編著『沖牙太郎』(1932・沖牙太郎伝記編纂係)』▽『日本経営史研究所編『沖電気100年のあゆみ』(1981・沖電気工業)』