日本大百科全書(ニッポニカ) 「沖電気工業」の意味・わかりやすい解説
沖電気工業(株)
おきでんきこうぎょう
通信機メーカーの老舗(しにせ)。通称OKI(オキ)。1881年(明治14)沖牙太郎(おききばたろう)が東京・京橋(きょうばし)で電信・電話機等製造を目的に創業した明工舎が前身。1889年沖電機工場、99年沖商会となり、1917年(大正6)に沖電気となった。第二次世界大戦前はおもに電話機、無線通信機、自動交換機などを生産した。戦後の1949年(昭和24)沖電気は解散、第二会社として沖電気工業が発足し、日本電信電話公社(現日本電信電話株式会社)に納入する大手通信機メーカーの道を歩んだ。1950年代後半以降、通信機メーカーからの脱却を目ざし、新事業に進出した。1961年に中型コンピュータOKITAC‐5090を開発したが、大型コンピュータは63年設立の合弁会社沖ユニバックにゆだね、小型コンピュータと周辺端末装置に専念、また金融機関等のオンライン端末システムを次々と手がけ、「端末の沖」の実績を築いた。通信部門でも電子化を進め、電子交換機時代のスタートを切った。OA部門にも積極的に進出し、半導体事業での超LSIなどの電子デバイス技術と相まって、総合エレクトロニクスメーカーの地位を築いた。2008年10月、会社分割により株式会社OKIセミコンダクタを設立し、半導体事業を分離した。資本金769億円(2008)、売上高4088億円(2008年3月)。
[中村青志]
『日本経営史研究所編『進取の精神――沖電気120年のあゆみ』(2001・沖電気工業)』