改訂新版 世界大百科事典 「法書要録」の意味・わかりやすい解説
法書要録 (ほうしょようろく)
Fǎ shū yào lù
中国,唐の張彦遠の撰。10巻。後漢の趙壱の《非草書》から唐代の808年(元和3)に成った盧元卿の《法書録》に至るまで,書に関する古今の文献39篇を集成したもの。目録には計42篇を挙げるが,《王羲之教子敬筆論》《蔡惲書無定体論》《顔師古註急就章》《張懐瓘六体書》の4篇は文章を収録せず,〈伝授筆法人名〉は目録にはなくて,巻一の本文の中に文章が収められている。内容は,王羲之・王献之の書に関するもの,南朝の書論,唐代の伝統派の書論と書跡の収集に関するものなどである。採録資料の豊富さと選択の精審である点において,後世の書論集の模範となった名著であり,唐以前の書道史を研究する上で最も重要な文献である。初めに自序があり,終りに〈張彦遠本伝〉を付す。同じ著者による《歴代名画記》10巻の成った847年(大中1)以後まもなく成立したと思われる。《津逮秘書》《王氏書苑》《学津討原》などの諸本がある。
執筆者:杉村 邦彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報