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波の速度 なみのそくどvelocity of wave

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

波の速度
なみのそくど
velocity of wave

波の速度には伝搬される量や状態として何に着目するかによって位相速度群速度,エネルギー伝搬速度,信号速度などの別がある。位相速度は一定位相の状態,すなわち面が進む速度で,理論的には波に関する諸量はこの速度で定義される。一般の波を正弦波に分解したとき,正弦波の位相速度は成分ごとに異なる。したがって,波の速度は位相速度とも異なるのが普通である。そこで,この波が正弦波を合成した波束とみられるときには,その波形があまりくずれない範囲で一塊のまま進む速度として群速度を定義する。量子力学的粒子の速度は物質波 (波動関数 ) の群速度で与えられる。エネルギー伝搬速度は,波のエネルギーが空間的に局在する場合に,エネルギーの流れベクトルをエネルギー密度で割った量として定義される。波を信号として用いるときには,信号波は発信前の振幅がゼロであるから完全な正弦波ではなく,進行とともに波形がくずれる。信号速度は測定可能な大きさの振幅をもつ波の部分の進む速度を表わし,微小振幅の部分をも含めた波の先端が進む先端速度と区別される。等方的で位相速度が振動数に無関係な非分散性媒質中では4種の速度は一致するが,分散性媒質中では異なる。 図は,吸収帯ν0付近での電磁波の4種の速度が非常に異なり,ν0を離れると位相速度以外の速度はほぼ一致することを示している。なお,電磁波の先端速度は媒質に関係なく真空中の光速度に等しい。 電磁光学では,光の位相速度は電束密度に垂直,すなわち波面の法線方向を向くので法線速度と呼ばれる。一方,エネルギー伝搬速度はポインティング・ベクトルとエネルギー密度との比で定義されて光線速度と呼ばれ,電場に垂直な方向に進む。光学的異方体の中では両速度の方向は異なる。

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