波羅夷(読み)ハライ

デジタル大辞泉 「波羅夷」の意味・読み・例文・類語

はらい【波羅×夷】

《〈梵〉pārājikaの音写。極悪・重禁・断頭と訳す》仏語戒律うちで最も罪の重いもの。ふつう婬戒・盗戒・殺人戒・大妄語戒の四つをさす。犯した比丘比丘尼教団から追放される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「波羅夷」の意味・わかりやすい解説

波羅夷
はらい

仏教の戒律でもっとも重い罪。サンスクリット語パーラージカpārājika(他勝の意)の音訳で、根本罪、辺罪ともいう。修行者がこの罪を犯すと、僧伽(そうぎゃ)(出家教団)から永久に追放される。比丘(びく)(男性出家者)戒の波羅夷は、(1)淫(いん)(性交)を犯す、(2)物を盗む、(3)殺人(堕胎を含む)、(4)大妄語(だいもうご)(悟りを得ていないのに得たと嘘(うそ)をいう)の4条からなるが、比丘尼戒の波羅夷にはさらに4条が加わり、8条からなる。

平川 彰]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「波羅夷」の意味・わかりやすい解説

波羅夷
はらい

仏教用語。サンスクリット語 pārājikaの音写で,戒律のなかで最も重い罪のこと。部派仏教では比丘に四波羅夷があり,淫,盗,殺,妄の4つの罪を犯した者は懺悔しても許されない。比丘尼にはさらに触,八事,覆,随の4つを加えた八波羅夷がある。大乗仏教では教典により内容,数が異なるが,菩薩の四波羅夷や,『梵網経』『大日経』などの十戒をいう。

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