精選版 日本国語大辞典 「比丘尼」の意味・読み・例文・類語
びくに【比丘尼】

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仏教における女性の出家修行者。男性の比丘に対する。仏教の尼僧。パーリ語のビックニーbhikkhunīの音写。サンスクリット語ではビクシュニーbhikunīという。語尾のニーは女性形を示す。かつてインド(のみならず、世界のどこにも)に女性の出家者は存在しなかったが、釈迦(しゃか)の養母が切願して出家したのが比丘尼の最初といわれ、以後しだいに増加した。出家して戒(具足(ぐそく)戒とよばれる)を受け、それを保ち続け、男性の出家修行者の比丘とともに、仏教教団のもっとも重要な成員とされる。男女の差別を設けない仏教の平等主義の特徴を示す。ただし、比丘尼の教団は比丘の教団とは独立して運営された。現在、東南アジア一帯の仏教(テーラバーダ=長老部(ちょうろうぶ)仏教)では、戒の授受が中絶したために、比丘尼(の教団)は消滅したが、大乗仏教を奉ずる中国、台湾、韓国、日本では、比丘尼が活躍しており、とくに韓国では比丘と同数を占める。
[三枝充悳]
日本における比丘尼は、記録のうえでは、善信尼(ぜんしんに)と称した司馬達等(しばたっと)の娘がその初めとされる。奈良・平安時代にも尼の存在は認められるが、鎌倉時代になると尼門跡寺ができるなど一定の地位が築かれた。これらに対して、熊野比丘尼に代表されるような諸国を遊行する比丘尼が現れる。男性のヒジリに対応するもので、むしろ尼形の巫女(みこ)で祈祷(きとう)や託宣を業とした。近世の歌(うた)比丘尼や、遊女にまで転落した売(うり)比丘尼はそうした流れをくむといわれている。
[佐々木勝]
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…出家して仏門に入った女性のこと。比丘尼(サンスクリットbhikṣuṇīの音写),尼法師ともいう。ふつうは戒律を守り,剃髪して,法衣を着るが,有髪のまま尼になることもある。…
…したがって各地に多くの私娼が出現し,なかには堂々と営業を続けて,公娼をしのぐほどのものも珍しくはなかった。表面上は公娼制堅持の幕府にとって,私娼はすべて隠売女(かくしばいじよ)であったが,法令に出てくる名称だけでも風呂屋女,茶屋女,茶立女(ちやたておんな),給仕女,女踊子,綿摘(わたつみ),比丘尼(びくに),芸者などがあり,その存在を見過ごせなかった事情を物語っている。実際の私娼の名称は,俗称を含めてはるかに多く,表向きの職業や居住地名にちなんで命名されている。…
…仏門に入って僧尼となることである。仏教徒の集団を構成する七衆のうち在家の優婆塞(うばそく)・優婆夷(うばい)を除く,比丘(びく),比丘尼,式叉摩那(しきしやまな),沙弥(しやみ),沙弥尼の五衆は出家のなかに入る。鬚髪(しゆはつ)を剃り,墨染など壊色(えしき)に染めた衣をまとう状態になるので剃髪染衣(ていはつぜんえ)といい,とくに王侯貴族の出家は落飾(らくしよく)という。…
…サンガは元来,集団,共同体の意味で,修行者の集り,教団を指すが,中国では転じて個々の修行者を僧とよぶにいたった(その複数形をあらわす僧侶もまた,日本では個人を指す語に転化した)。
[インド]
教団の構成員は出家修行者たる比丘(びく),比丘尼(びくに)と在家信者たる優婆塞(うばそく),優婆夷(うばい)の4種で,合わせて四衆とよぶ。また,修行者のうち未成年者を沙弥(しやみ),沙弥尼といい,女性で入団1年未満のものを式叉摩那(しきしやまな)とよび,これらを別出して七衆ともいう。…
※「比丘尼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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