日本大百科全書(ニッポニカ) 「津軽暖流」の意味・わかりやすい解説
津軽暖流
つがるだんりゅう
Tsugaru Warm Current
津軽海峡を経て日本海から太平洋に流れ込んでいる海流。津軽海峡から流出した津軽暖流は、冬から春にかけては尻屋崎(しりやざき)を回り青森県の東岸に沿って南下することが多く、夏から秋にかけては襟裳岬(えりもみさき)付近まで張り出し、ときには暖水渦を形成することがある。南は金華山付近まで達している。その流量は、春に極小、夏から秋にかけて極大となり、平均して毎秒150万立方メートルである。津軽海峡の東方での流れの厚さは、津軽海峡の水深(最浅部約130メートル)の影響もあり約200メートル程度で、その下層には親潮系冷水が広がっている。海域の海面水温は4℃(冬季)~20℃(夏季)で、親潮との間に明瞭(めいりょう)な潮境が形成されている。
[長坂昂一・石川孝一]
『津軽海峡海難防止研究会編『津軽海峡の天気とことわざ』(1989・北海道新聞社)』▽『永田豊・鍵本崇・轡田邦夫・高杉知・石田享一著「北太平洋中層水の起源としての高塩の津軽暖流水」(『月刊海洋』25巻3号所収・1993・海洋出版)』▽『日本水産油脂協会編・刊『津軽暖流域のマイワシ』(1994)』▽『関根義彦著『海洋物理学概論』4訂版(2003・成山堂書店)』