異なった性質の水塊の境界をいう。水温、塩分、栄養塩量など海水の物理的、化学的性質がほぼ一様なものの大きな塊(かたまり)を水塊という。たとえば親潮系と黒潮系の水塊がぶつかる日本の三陸沖では顕著な潮境がみられる。潮境では、水温、塩分、栄養塩、溶存酸素量などが急変し、水色、透明度も著しく変わるので肉眼でわかることが多い。潮目(しおめ)はこの潮境域にみられる表面の流れの局所的な収束帯である。潮境では海水は(植物プランクトンにとっての)栄養に富み生物生産力が高い。また三陸沖やラブラドル海流とガルフストリームとが相接するグランド・バンクス海域のように寒暖両水系の魚が集まるので好漁場となる。潮境では温度差の大きい寒暖両水塊があるため、海霧が多発し、また低気圧が急激に発達することもある。
[半澤正男・高野健三]
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… 日本における漁況予測は1887年の水産予察調査に始まるとされるが,その後,海洋調査,漁場学的研究,漁況と海況との関係に関する研究が着々と進められ,今日の基礎を築いた。中でも〈魚群は潮目に集まる〉という北原多作の発見は,これを引き継いだ宇田道隆の潮目の研究により,〈海洋前線(潮境)は海洋生物の濃密に集まる水域を示し,そこには好漁場が形成され,通常海面に走る条目を現す潮目(収束線)がその指標となる〉というように拡張され,漁場開発に大きな貢献をした。 漁況予測は将来の漁獲量の予測であり,資源,環境,漁業の3者の予測を総合する必要があるが,漁業については管理可能であるので,ある状態(今年と同じとか)を仮定し,資源と環境という自然条件の予測を行う。…
※「潮境」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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