えりも町の南端部に位置し、日高山脈が南に延びて太平洋に突き出た岬。付近は各標高が八〇―九〇メートル、四〇―六〇メートル、二〇メートル前後の三段の海岸段丘が発達、とくに岬西側(字東洋側)の海岸は四〇―六〇メートルの中位段丘がただちに海に臨んで海食崖となっている。岬突端は標高六〇メートルの断崖で、さらに沖合に向かって七キロほど岩礁が続いている。地先海域は暖流と寒流がぶつかる地点で、五月から八月にかけて海霧が発生しやすく、昔から航海の難所とされ、明治二二年(一八八九)岬西側の高さ六〇メートルの段丘上に襟裳岬灯台が設置された。一帯は風の強いところとしても有名で、年間に風速一〇メートル以上の日が二九〇日、うち一五メートル以上は二〇〇日に及ぶ。強風により一部では樹木がはうように地にへばりつき、所々に裸地もみえる。
「津軽一統志」の「松前より下狄地所付」に「ゑるも崎」とみえるのをはじめとして、近世の多くの記録類に当岬についての記述がある。襟裳(ヱリモ)の語義については、秦「地名考」に「古名ヱンルモイと云。ヱンルモは尖出の名、イは
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
北海道南部,日高山脈の南端部が太平洋に突出した岬。日高支庁管内えりも町に属する。付近には高度20m,40~60m,90mの3段の海岸段丘が発達しているが,先端部から西側の海岸にかけては中位段丘がただちに海に臨み,高さ40~60mの海食の断崖が続く。岩礁が6kmの沖合まで続き,寒流と暖流の合流地点のため海霧が発生しやすく,また最大風速15m以上の日が年間200日もあり,7~8月を除けば毎月30m以上の強風が記録される。60mの段丘上に1889年設置の灯台(光達距離46km)があり,霧笛信号を発する。東岸のえりも岬漁港に続く15kmの海岸は百人浜と呼ばれ,南部藩御用船が難破し,100余人がこの浜に打ちあげられたことからこの名があると伝えられ,遭難者供養のための一石一字塔がある。岬および周辺地域は1981年日高山脈襟裳国定公園に指定され,観光客が多い。
執筆者:岡本 次郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
北海道中南部、日高(ひだか)山脈の末端が太平洋に突出した岬。日高振興局管内のえりも町にある。東側は標高90~80メートル、60~40メートル、20メートル前後の3段の海岸段丘が発達し、南西側は中位段丘が海に臨み海食崖(がい)となっている。岬突端はこの延長で断崖となり、沖合いには海食台が延びて数キロメートルの岩礁が続く。寒暖両流の合流する所で、とくに5~8月には海霧の発生が多く航海の難所とされ、1889年(明治22)に灯台が開設されて、かつてはその霧笛が観光客の旅情をそそった。岬付近は好漁場で日高昆布の産地として知られる。また、東側の低位段丘面には襟裳の漁村があり、付近には旅館やキャンプ場などの施設も多く、夏季はとくににぎわう。1981年(昭和56)日高山脈襟裳国定公園に指定され、濃霧と岬の荒波のほか、幕末の遭難悲話で知られる百人浜などが北国の印象を強める。
[柏村一郎]
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出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
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