浙贛線(読み)せっかんせん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「浙贛線」の意味・わかりやすい解説

浙贛線
せっかんせん / チョーカンシエン

中国、杭州(こうしゅう)―株洲(しゅしゅう)間の鉄道名称。延長954キロメートル。浙江(せっこう)省の銭塘江(せんとうこう)流域より鄱陽(はよう)湖南方の江西盆地(贛江(かんこう)流域)を経て、洞庭(どうてい)湖に注ぐ湘江(しょうこう)沿岸の株洲で京広線と連絡し、滬杭(ここう)線、湘黔(しょうきん)線などと結んで中国中部を東西に貫く幹線鉄道の一環を形成する。沿線には金華、貴渓、南昌(なんしょう)(厳密には南昌南方28キロメートルの向塘西(こうとうせい)で南昌方面への支線を分岐する)、萍郷(ひょうきょう)、醴陵(れいりょう)などの都市がある。第二次世界大戦以前に、中国資本を主力として(一部にドイツ資本からの借款を含む)建設された数少ない鉄道の一つであり、浙江、江西両省当局が主体となって建設計画を推進した。江辺(銭塘江南岸で杭州の対岸)―玉山間は1934年、江山―南昌間は1936年、向塘西―萍郷間は1937年にそれぞれ全通しており、萍郷―株洲間は萍郷炭田の石炭輸送のため、これよりはるかに早く1905年に粤漢(えっかん)鉄道(武昌(ぶしょう)―広東(カントン)間)の支線として開通していた。中華人民共和国成立後、施設改良が行われるとともに銭塘江大橋の完成によって上海(シャンハイ)から直通列車の乗り入れが可能となり、この線から分岐する鷹廈(ようか)線(鷹潭(ようたん)―厦門(アモイ)間、694キロメートル、1956年開通)をはじめとする多くの支線が新たに開業した。

青木栄一・青木 亮]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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