改訂新版 世界大百科事典 「萍郷」の意味・わかりやすい解説
萍郷 (ひょうきょう)
Píng xiāng
中国,江西省西部,湖南省との省界にある省直轄市。人口154万(2003)。贛江(かんこう)支流の袁水と,湘水支流の淥水(りよくすい)の分水嶺に位置し,江西・湖南間の交通上の要衝。開発は江西の側からが早く,三国時代,すでに東に設けられていた宜春県を割いて萍郷県を置き安成郡(安福)に属した。地名は春秋時代,楚の昭王がここで萍(浮草)の実を得たためという。その後,山間の交通要衝であり続けたが,清末,湖広総督となった張之洞により,県内安源山の炭田が開発され,漢冶萍煤鉄公司の重要な資源基地となるとともに,一転して近代的工業都市への道をたどることになった。1905年(光緒31)漢陽に設けられた製鉄所へ石炭を供給するため,安源山より湖南株洲へ鉄道が引かれ,ついで東へも南昌,九江,杭州と結ぶ鉄道も設けられた。この間,炭田開発には日本の資本も積極的に進出した。また1922年には,炭鉱労働者クラブがつくられ,ストライキを実施するなど,労働者運動においても先進的な役割を果たした。現在もそのクラブ旧跡などが残っている。解放後60年市と改められた。また北宋のとき,臨済宗の一派である楊岐宗をたてた楊岐寺(普通禅寺)が楊岐山にある。
執筆者:秋山 元秀
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